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だから男の間では密かに「本当のミスキャンパスは由紀恵だな」って言われてたほど。
同じサークルだった俺は、話が出来るだけでも幸せを感じてました。
でも1年の終わり頃、由紀恵には彼氏が出来てしまって遠い存在へ。
噂では20代後半のチャラ男系だが、俺でも知っていた企業の2代目社長の次男坊みたい。
そしてすぐに妊娠し、立て続けに2人の子供を出産。
同級生だったが高嶺の花で遠い存在だった由紀恵。
でも本人はほぼ特別意識が無いようで、誰にでも愛想よく接してくれてた。
まあそれが罪深い行為ではあったが、誰しもが一度は・・・って思えるような女でした。
そんな由紀恵と再会したのは29歳になった年のサークル同窓会。
昔からモテない俺はもちろん独身だったが、半数以上が既婚者で驚いた。
久し振りに会った由紀恵は昔と変わらぬ美しさでした。
子供がいるとは思えないほど細くてスタイルも変わらず。
喋りたかったが1次会は男共と喋っていて、初めに交わした挨拶だけで終了した。
思い掛けなかったのは2次会。
総勢30人以上の先輩後輩が集まっていたので、幾つものグループに別れて2次会へ突入した。
同級生たちが多いグループにいた俺は、由紀恵もいてラッキーだなって思ってました。
楽しく飲んでいたのにしばらくして仕事の電話が入り、外に出て電話をしてたんです。
そしたらそこに由紀恵がきて、由紀恵も電話で喋ってました。
互いにアイコンタクトしつつ電話をし、先に切った由紀恵はなぜか俺を見てるんです。
何だろう?と思いつつも喋っていて、電話を切ると由紀恵から喋り掛けてきました。
「仕事の電話?」「あぁ、うん」「大丈夫?」「いやぁー大丈夫じゃないみたい」「もう帰るの?」「多分ね・・・旦那?」「そぉ~なのよ、早く帰って来い!って」「そかそか、お互いに大変だね」「アタシは大変じゃないけどねw」軽く酒が入っているとはいえ可愛さは昔以上に感じられました。
昔からの綺麗さに妖艶な色気も混じってて、その気になれば色気ムンムン系にもなれそう。
なのにニコッと笑うと可愛らしい表情になるので、緊張しちゃって変な気分になるんです。
俺は戻ろうとしたんですが、なぜか由紀恵の喋りは止まらない。
俺と喋りたいのかな・・・って勘違いしちゃうほどよく喋ってた。
どうしたもんかと思っていると、思い掛けない方向に会話が流れて行った。
「そうそう、ずっと言えなかったんだけど、あの時ありがとね」「あの時?」「ほらぁ~合宿の時の・・・」「えっ?合宿?何かしたっけ?」「えぇぇーっ!覚えて無いの?ショックぅ~~」「あはは・・・・ゴメン・・・」由紀恵が言うには、先輩にしつこく言い寄られてた時に俺が助けたみたい。
助けた覚えは全く無かったんだが、その時の状況は思い出した。
初めて聞くその話に正直驚いてしまいました。
その先輩は俺達が1年の頃から由紀恵に言い寄ってて、4年間ずっと継続してたらしい。
1年の時に初めて行った合宿でベタベタ触られ、2年の時は怖くて欠席。
3年の時は周りに相談してたから、1人にしないとか言われて合宿に参加。
その頃はストーカー気味になっていて、自宅の近所や電車とかで待ち伏せもあったとか。
怖くて彼氏に迎えに来てもらったりしてたようで、何度も携帯を変えたって言ってた。
そんな状況で参加した合宿の帰り道。
由紀恵は疲れて車内で爆睡していて、サービスエリアについても起こされなかったみたいらしかった。
周りの気遣いだろうけどね。
生温かい変なニオイでふと目を覚ますと、隣にその先輩が座ってる。
しかも抱き締められていて、顔が目の前にあったんだってさ。
思わず叫ぼうとしたけど怖くて声が出ない。
するとそのままムギュッと抱き締められ、怖くて怖くて何も出来ない状況になってたらしい。
そこに俺が現れて、その先輩を連れ出してくれたって言ってた。
確か俺はあの時トイレに行ってて、先輩に「アイツに何飲むか聞いてきて」と頼まれたんです。
何で俺が・・・とムカついたが、仕方なく戻ってミニバンの後部座席のドアを開けたんだった。
邪魔しちゃったかなと思ったが、先輩に「何飲みます?」とか聞いて・・・そうそう、すっごいキョドってたから「じゃ○○先輩に自分で言って下さいよ」とかキレ気味に言ったんだっけ。
それでそのまま先輩と一緒にサービスエリア内に行った記憶が蘇ってきた。
あの時そんな事があったとは初耳だった。
そういえばあの合宿以降、由紀恵はサークルに顔を出さなくなってた。
でも4年になってからは普通に来てたから、あぁ~そうだったのかと納得した。
「あれは先輩に頼まれて・・・」とバカ正直に答えた俺に、由紀恵は「相変わらず素直だね」と肩をポンポンしてきた。
相変わらずとは・・・と思いつつも嫌な気がしない。
改めて有難うと言われた後、2人で店に戻った。
でもそれから30分もしないうちにまた仕事の電話が掛ってきて、俺は会社にあるデータを取りに行って家で作業しなきゃいけない状況に。
「ゴメン、俺ちょっと帰るわ」周りの友人達に声をかけ立ち上がると「アタシも帰る~」と由紀恵の声が。
「なんでよぉ~」「どうしたの?」と俺には無かった声が幾つも飛び交うw「さっきから旦那がウルサイんだもん」と帰る理由を説明してた。
お金は置いてあるので俺は1人で店を出て、電車にするかタクシーにするか考えてた。
そこに「よっ!」と肩を叩く由紀恵。
「タクシーで帰っちゃう?」とおちゃらけて聞いてくる。
「独身ですからねぇ~」とか言いつつタクシーを拾う事にした。
「じゃアタシもぉ~」と同乗しようとする由紀恵に、俺職場に寄ってから帰るんだよって説明したが、イイよイイよアタシも行く!と変なテンション。
先に送るか・・・と思ったが、一緒に行くと言ってきかない。
どうせたいした会社でも無いので、一緒に行く事にした。
本当は由紀恵と過ごせる時間が楽しくて嬉しくて仕方が無かった。
警備の人に鍵を開けてもらい、一緒に中へ入ってくる由紀恵。
やたら「何?あれ」とか「社長室は?」とか言ってたが、軽くスルーして自分の机に行ってデータが入ったメモリーを取ってきた。
またタクシーを拾って一緒に乗ったが、どう考えても俺の家が猛烈に近い。
「いや、送っていくよ!」と強引に向かっていた時でした。
急に「吐きそう・・・」とか言い出して、急遽行き先をウチへ変更。
「コンビニに寄る?」「うぅぅ・・・ダメかも・・・」「じゃちょっと降りで休憩する?」「横になりたい・・・・」「えぇぇ・・・どうしようか・・・我慢できない?」「カズ君のウチ寄って良い?」「そりゃイイけど・・・」俺が誘ったわけじゃ無く、由紀恵から行きたいと言ってきたんです。
まあそんな会話をしてた場所からウチまで、ほんの数分の距離でしたから。
マジで具合悪くてウチで休みたいって言ってると思いました。
肩を貸しながら部屋に入り、とりあえずソファーに座らせました。
「待ってて」とそのまま部屋を出て、下にあるコンビニで飲み物などを購入。
ほんの10分も経って無かったと思います。
好きだった子と同窓会ですごいことに…
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