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だけどできなかった。
理由は一つ。
本人公認の母乳など、牛乳と大差ない。
俺は母乳を飲みたかったのではなく、兄の嫁といかがわしい間柄になるスリルを味わいたかったのだ。
言えばすぐに出してもらえる母乳にはスリルのかけらもない。
もっとスリルが欲しい。
母乳以上のスリルといえば、あれしかない。
そう、ミサキさんとの性行為。
こればかりは、いくら金を提供してもらっているとはいえ、許可するはずがない。
どういう状況になろうが性行為だけはタブーだ。
俺はそのタブーを踏み越えるための策を練った。
一番てっとり早い方法は、いかがわしいムードを作り、少し強引に押し倒すという手だ。
これは相手にもこちらに多少の好意がなければ成立しない。
正直俺の見た目が異性に好意を抱かせるとは思えないので、強引な方法はパスだ。
となると、ミサキさんに好意がなくとも俺とセックスを行う状況を別の方法で作らねばならない。
やる気もないのに女がセックスを求める時とはどういった時なのか。
この難題に、俺は早々と答えを出した。
なぜなら、すでに答えはでかけていたのだ。
ヒントは母乳だった。
資金を提供している立場の俺は、資金の代価を要求する権利があるのだ。
ミサキさんは資金の提供を続けてもらうために、多少の無理はあろうとも要求を受け入れてくれるだろう。
母乳すらくれるのだから、少し無理強いすれば体も…。
早速俺は作戦を開始した。
まずミサキさんに毎月行っていた入金をやめた。
すると、一週間くらいしてミサキさんのほうから俺に声をかけてきた。
「あの、清さんミルクのほうは、もう足りてますか」直接入金の催促は図々しいと考えたのか、金の代価としてあげていた母乳を自ら持ってくることで、暗に入金してくれるよう働きかける腹積もりらしい。
「もういらないからいいです」本当はミサキさんが自らすすんで俺のために用意してくれた母乳に、心を動かされていた。
だがここは我慢。
この先にあるものを手に入れるための辛抱だ。
「そうですか…」ミサキさんはその日、入金が滞っている件についてはふれてこなかった。
まだ手持ちの金でやりくりできるのだろう。
だが、それがつきたときは…。
ミサキさんが平静を保っていられなくなったのは、それから三週間が過ぎた頃だった。
一ヶ月がすぎ、再び俺の給料日が訪れた。
だが、今回もミサキさんには一円も援助しない。
するとさすがに焦ったのか、ミサキさんは俺の部屋にきて包み隠さず聞いてきた。
「こんなこというと、おこがましいかもしれませんが、いつも頂いていたお金、もうもらえないのですか?」ついにきた。
俺は用意していた台詞を、焦らないように落ち着いて言った。
「よく考えたら、ただでお金を渡してるのって、俺にとって何のとくにもならないんだよ…ね」「でもいってくれたじゃないですか。ダイスケさんが働かないせいで迷惑をかけてるのが申し訳ないって。だから少しだけでも手助けできると嬉しいって」「お金をあげるっていう手助けじゃ、何の解決にもならないってわかったんだよ。兄貴は働かないままだし、一時的に助かってしまうことで、ミサキさんもなんの行動も起こさない。結局二人の破滅を先延ばしにしてるだけなんだよ」「じゃあ私はこれからどうすればいいんですか?」ミサキさんはドア枠によりかかるようにして、脱力した体をなんとか立て直した。
「知らないよ。二人の問題は二人で解決してよ」「そんな…」鎮痛な面持ちで涙をこらえるミサキさんに、俺は近寄ってこう提案した。
「俺も少しだけ得がしたいんだよ。もしできるのならお金だしてもいいよ」その日の夕刻だった。
ミサキさんは自室に俺を招待した。
その部屋はミサキさんと兄貴が共同で使っているのだが、兄貴はほとんど家に帰ってこないので、ほとんどミサキさんの部屋といってよかった。
きちんと整頓され、かぐわしい香りがほのかに漂っている。
俺の来訪に合わせて寝かしつけたのか、傍では赤ちゃんがすやすやと寝息を立てている。
ミサキさんは白いTシャツに黒のハーフパンツといういでたちだった。
部屋の中央に立ち、まっすぐ俺を見ている。
「一つお願いがあるんですけどいいですか」開口一番、ミサキさんがこう切り出してきた。
「キヨシさんの言ったこと、全部受け入れます」俺は頭の中を全て見透かされるのを承知で、満面の笑みを見せた。
「ということは、いいってこと?俺と…」「はい。でも今日だけは、手で許してくれませんか?」少し不満だったが、俺は今日はそれで許すことにした。
焦りすぎはいけない。
どうせこれからはミサキさんの体をすみからすみまで堪能することができるんだ。
初日は手コキで十分だ。
むしろ今後に楽しみをとっておくことで次回の興奮が高まる。
俺はミサキさんの提案を受け入れ、されるがままズボンを下ろされた。
他人に下着を脱がされるのは、幼少期か病床についている時だけだ。
だからなのか、ミサキさんが膝を折って俺のズボンをおろし始めたときは、なんだか照れくさかった。
子供扱いされているような、そんな気分だった。
恥ずかしさはトランクスを脱がされる時にさらに高まった。
チンポを美人の眼前にさらすという状況は、即性欲沸騰に繋がると考える人間もいるだろうが、実はそうでもない。
なぜなら美人にチンポを見られる瞬間、男はためされるからだ。
己のいちもつが目の前の美人にふさわしいかどうかを。
美人が判断するのだ。
ここでもし、美人が含み笑いなどしようものなら、男の心は傷つき、当分の間、もしくは一生チンポがそそり立つことはないだろう。
いわゆるインポテンツ状態という恐ろしい氷河期に突入するのである。
であるから、美人にチンポを謁見させる瞬間は、女と男の立場の逆転現象が起こるのだ。
俺はミサキさんにチンポを見られる瞬間が、早く過ぎてくれないかと願った。
すると意外にも早くその瞬間は何事もなかったかのように過ぎ去った。
ミサキさんは俺のチンポに無関心だったのだ。
自分はただ金をもらいたいがためにやっているだけにすぎない。
そう割り切っているのか、一貫して無表情だった。
さも当たり前のように、俺のチンポの包皮をむき、邪魔な陰毛をかきわけ、左手でそっとなでるようにチンポをつかみ、ゆっくりと上下に動かした。
自分で現状を作り出したにも関わらず、俺は頭がパニック状態に陥っていた。
一生訪れることはないだろうと思っていた状況が今目の前で繰り広げられているのだが、それを事実であると受け入れられないのだ。
兄貴の嫁であるミサキさんが、俺のチンポをしごいている。
こんなことがあっていいのだろうか。
現実を対処しきれない脳が、性欲の増殖を許可しないのか、俺のチンポは一向に勃起しなかった。
だが勃起しなくとも満足だった。
まるでウイスキーでもあおったかのごとく、視界がぼやけ気持ちよかった。
「見ないと出ないですか?」ミサキさんの問いに、一瞬俺は何を言われたのかわからなかった。
見ないと駄目?どういうことだ?返答に戸惑っていると、ミサキさんはおもむろに右手でTシャツをまくりあげた。
すると黒いブラジャーにつつまれた右胸があらわりなり、ミサキさんはブラジャーをも下にずらして乳房をさらけだした。
この間もミサキさんは常に無表情だった。
なぜだろうか、作業的に性欲処理をされているのがたまらなく興奮する。
気づけば俺のチンポはギンギンに勃起していた。
次第に、ミサキさんの白く細い指に透明で粘性のある俺の体液が付着していった。
それを見て終わりが近づいていることを機敏に察知したのか、ミサキさんの手の動きが早くなっていく。
思わず腰をひいてしまう。
自分が攻めているというよりも、攻められている感じがするのだろうか。
多少の劣等感を感じつつも、気持ちよさに酔いしれた。
「い、いくっ!」「え!?あ!ティッシュ!」射精後の対処までは考え至らなかったのか、ミサキさんは俺のチンポをしごきながらも必死でティッシュ箱を探していた。
だがしかし射精には間に合わなかった。
俺はミサキさんの上半身に精子を大量に散布した。
Tシャツには薄黄色の体液が濃厚に付着し、顔にも少しばかり飛び火している。
赤くうるんだ唇の隅に精子がついているのが見えた。
俺の性欲はそれを見てさらに高ぶった。
行為中まったく動いていないはずの、俺のほうがミサキさんよりも荒い息遣いで疲労していた。
心地よい疲れだった。
ミサキさんのほうは、行為後の処理を淡々と行っている。
汚いものをかけられたなどと、微塵も思っていないような無表情だった。
俺にはありがたい無表情だった。
「終わったので、早めに出て行ってもらえますか。誰かが帰ってくるかもしれないんで」そう言われ、俺は無言で部屋から出た。
なにか少しだけ、当初の想像とは現実がズレているような気がした。
想像ではミサキさんもある程度俺との関係に喜びを感じているようだった。
二人で秘密を守りながら肉体関係を持ち続ける。
現実はそんなにうまくいかないという事か。
だがこれから先ミサキさんとの関係が深まっていく事は確実だろう。
俺は今日味わった快感を反芻し、眠りにつくことにした。
翌日、朝リビングでミサキさんと顔を合わせたときは、気まずかった。
どういう会話をしていいのかわからない。
今まで通り振舞えばいいのか、それとも昨日の出来事を考慮して態度をかえるべきなのか。
かえるとしたらどうかえるのか。
高圧的にでるか?それとも…。
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